「独立」「起業」「事務所」「オフィス」

会社を立ち上げ、その報告を周りの方々にお伝えしてから1週間くらいの間、各方面の方々からお祝いのメッセージを頂いていました。前職の方、地元の知り合い、同業者の方々、etc…。そんなメッセージを受け取っている中で、僕はある面白い現象に気づきました。それは、デザイナー界隈の人たちは「独立おめでとう!」という言葉を使うのに対して、エンジニア界隈の人たちは「起業おめでとう!」という言葉を使うということです。業界によって「会社を立ち上げるという行為」を指す単語が違っていると。この事実は、各業界の会社の形態が如実に表れているなぁと考え始めました。

デザイナーの方が会社を立ち上げると言ったとき、多くは数人規模で少数精鋭の、いわゆる「デザイン制作会社」を指す場合が多いです。一方で、エンジニアの方が会社を立ち上げると言ったとき、渋谷のスタートアップ企業に代表されるような短期間での急成長を狙ったサービス開発会社を指す場合が多いのです。確かにこの2つを並べたとき、前者は「独立」という言葉が相応しいし、後者は「起業」という言葉が相応しいのでしょう。その上で、僕の場合は「Web制作会社」という、その中間にいる業界に身を置いていることもあり、半分(デザイナー系の方々)からは「独立」という表現で、もう半分(エンジニア系の方々)からは「起業」とう表現でその行為を言い表されたのだと思います。

こういった言葉のニュアンスの微妙な違いは、「事務所」と「オフィス」という単語にも表れています。これも同じように、デザイナー系の方々は「事務所」という言葉を使い、エンジニア系の方々は「オフィス」という言葉を使う傾向にあります。「オフィス」の方がより広いスペースを連想しますが、数人規模で働く小さなスペースを言い表す場合は、「事務所」も「オフィス」も形式的な差異はありません。

この事実、僕は新オフィスを決める際にもうまく使っていまして。僕らの新オフィスはデザイナーズマンション物件から探したのですが、こうした物件を法人利用して良いかどうかはオーナーさんの一存で決まるのですね。交渉次第なのです。
交渉をすすめる際、最初は「オフィスとして利用したいのですが…」と切り出していたのですが、これだと結構渋い反応をされることが多かったのです。そこで僕は気づきました。「オフィスというとすごい大業な印象を受けてしまうからだろうか…?事務所という言い方に変えてみよう」と。

すると、この考えは的中したのか、「事務所として利用したいのですが…」と切り出すと、割とすんなりOKを出してくれるオーナーさんが多かったです。前述したように、あくまで言葉の違いだけで、その実態は全く同じなんですけどね。

言葉の持つ印象って大事だなぁと感じたお話でした。

つぎの日 『日本でいちばん大切にしたい会社』を読んで。

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