僕は「お笑い」が好きでずっと前から意識してよく見ていたんですけど(今もたまに見ます)、そのなかで好きだったブラックマヨネーズというコンビにすごく好きなエピソードがあります。
まだガラケー全盛だった時代、他人と連絡を取る手段としてLINEやMessengerなんてものはなく、「電話帳」から電話をしたり、メールを送るしかありませんでした。それゆえ、「電話帳」に登録する情報が他人へのアクセスのすべてになるので、非常に大切なファクターとなっていたんですね。
その当時、ブラックマヨネーズの二人はすでにコンビを組んでいて、もうブラックマヨネーズとして活動をしていました。もちろん、ガラケーを使ってコンビ間でやり取りをするので、電話帳を使います。
その電話帳への登録について、小杉さんは吉田さんを電話帳の「No.1」に、吉田さんは小杉さんを電話帳の「No.0」にしていたのだと言います。
これはどういうことかと言うと、No.1というのは、電話帳で一番最初に表示される項目です。つまり、小杉さんは「有事の際に、真っ先に連絡が取りやすいように」という意図を込めて吉田さんの電話番号をNo.1に登録していたのです。一方、吉田さんは、「唯一無二の存在だから」という理由で小杉さんの電話番号をNo.0にしていたそうなのです。
この独特なすこ歪んだ愛情表現の仕方が、僕がブラックマヨネーズという芸人を好きな理由で、この両者の選択はどっちも間違ってるし、どっちも正しいんですね。互いが互いの正義を持っていて、それを大事にしている。
こうした例は、コンビじゃなくても例えば2人で会社を経営している人や、夫婦でもよくある話です。敵対してるわけでも、忌み嫌ってるわけでもなく、それぞれがそれぞれの正義を持ち寄ると、違った結果になるというのは、よくあることじゃないでしょうか。
このブラックマヨネーズの例はそれをすごく的確に表した出来事で、すごく好きで、印象に残っているんですよね。
こういうことがある、ということを常に織り込み済みで動いていけると、無駄な争いやすれ違いは生まれずに済むのかなと、最近はそんなことを考えています。