Web制作を担当させていただいているJSAA(一般社団法人日本スポーツアナリスト協会)さんの年次カンファレンス、SAJ2016に参加してきました。
場所はここ、日本科学未来館。集まったお客さんの数はなんと500人!SAJは2014年から発足したイベントですが、毎年動員数を増やしていて、スポーツアナリスト業界全体の成長ぶりが伺えます。
今回のイベントの形式としては、2つのホールで行われるセッションに加えて、ブース展示も平行して行われていたため、予め特に興味のあるプレゼンをピックアップした上で見て回りました。
その中で特に印象に残ったのは、やはり今回の目玉セッションでもある井上康生監督によるセッションです。
井上監督はロンドン五輪における男子柔道の金メダル数0個という厳しい結果を受け止め、それまでスポ根文化の強かった練習スタイルを抜本的に見直し、食事管理から練習方法に至るまで、より効率的なものに改善していったそうです。その結果、見事にリオ五輪では全階級でメダル獲得という結果を残しています。
こうした“モーレツ主義”による非効率な努力は昨今、民間企業の間でも大きく見直しが図られている最中ですが、同じようなことがスポーツの世界にも起きているんだなと感じさせられました。
スポーツアナリティクスの裾野の広さ
スポーツアナリティクスと聞くと、一見ニッチなジャンルであるように受け止められるかもしれませんが、そんなことはなく、むしろ非常に裾野の広い業界であるということを今回のイベントを通じて再認識させられました。
今回のイベントで学生の方が出されていた「打者がデッドボールを受けると、その後何打席目までパフォーマンスの低下をもたらすか」という研究は、情報工学でもよく扱われるデータマイニングのアプローチであったり、「VR DreamMatch – Baseball」は本格的なVRゲームコンテンツであったり、選手の調子の良し悪しをいち早くキャッチアップするテクノロジーは、広い意味では一般人の健康管理にも適用できると思いました。
僕が今年読んだ本の中で「データの見えざる手」というのが印象に残っているのですが、本によると人間の幸福度は、ウェアラブルセンサから取得される加速度によって測定できる というのです。すごいですよね。つまりウェアラブルセンサのような客観的な分析をもとにして、本人でも気づきにくいような深層心理の部分まで測定できるということです。
ウェアラブルセンサやカメラなどで選手の動きを客観的に測定し、調子の善し悪しを未然に推定することで適切なメンテナンスや食事方法などをアラートで出してくれるアプローチがスポーツ選手の間で定着すれば、それが一般人の健康管理に対しても適用される未来は想像に難くないでしょう。
特に僕自身は上記のような本や、食事に関する本は好んでよく読む健康オタクなので、選手の状態管理に関する話は興味深く聞かせていただきました。
こうした裾野の広さを活かして来年・再来年とさらに多くの人を巻き込んだイベントになっていくだろうと予想します。若い学生も多く参加していましたし、今後の広がりが非常に楽しみなイベントです。