年齢を重ねるにつれて、自分に対して悪い指摘をしてくれる人は少なくなってくる。特に私のように上司のいない立場になるとなおさらであると思う。いわゆる、叱ってくれる人がいない問題だ。かくいう私自身もご多分に漏れず、最近では叱られる機会が減ったなぁと、自分でも思う。ただ、とは言っても日々クライアントや取引先と仕事をしているわけで、自分の至らない部分によって向こうに迷惑をかけてしまっている場面も多分にあるだろう。叱られる機会が少ない程度に自分の仕事が正確なのではなく、単純に自分の立場的に叱られづらいだけの話なのである。
そんな中で、稀に自分に対しても正しく叱ってくれる人はいる。今の仕事を数年やってきて、それでも指折り数えられるくらいだけれど。そういうときはハッとするし、正直「ムッ」ともする(人間なので)。ただ最近、この叱られるという機会は本当にありがたいことだよなと思う場面があった。
それは、他者にコーチングをしてもらったときだ。コーチングを体験したことのある方であれば分かると思うが、あれはやや特殊なコミュニケーションによって自らの強みや弱みを引き出してくれる。特に、自分の弱みというのは普段目を背けがちな部分であるため、改めて目の前で言語化されると新鮮な感覚を得られたりする。そう、弱みというのは普段自分の中でも見て見ぬふりをしがちだし、親しい友人があえてそれを指摘してくれることも少ないため、面と向かって自らに突きつけられる場面は意外と少ない。従ってわざわざ有償のコーチングの機会などを得てまで、自分の弱みを炙り出そうとするのである。
そう考えると、冒頭の叱ってくれる人の話を思い返した時に、無償で自分の弱い部分を指摘してくれている、大変ありがたい人なのかもしれないと思った。やや無理矢理なこじつけかもしれないけど。もちろんその叱る頻度が多すぎたり、的を射ていない内容であれば話は別だが、適切なタイミングで適切な叱責をくれる方というのは、これほどありがたいことはない。逆にいうと、そうやって稀にでも叱ってくれる人がいなくなったら、本当の意味で危ない立場にいると感じた方が良いだろう。将来の自分に対しても自戒を込めて。