根尾昂選手の話

僕はスポーツの中でもとりわけ野球が好きだ。なのでプロ野球やMLBのニュースは毎日マメにチェックしていて、最近ではプロ野球OBがYouTubeチャンネルを持つことも増えてきているため、様々なニュースに対してOBの方々がどういった意見を持っているかというところまでチェックしている。良い時代である。

最近で言えば、中日の根尾昂選手の投手転向の話がもっぱら話題である。歴史的にも類を見ない珍しいケースであるため、プロ野球OBの方々はこぞってそれぞれの意見を発信していた。賛成意見、反対意見それぞれあるが(反対意見の方がやや多かった気はする)、その中で某OBの方が発言していた内容に特になるほどと思った。

それは、「ピッチングとバッティングの両方をやらせてあげた方が、根尾選手の野球が完成するのではないか」という話である。いわば、本人にとってちょうど良いバランス、という意味だと思う。これは確かにある気がする。

僕のような一般的な仕事とプロ野球選手の仕事を比べるのはおこがましい話であるが、あえて対比してとらえるならば、例えば普段の業務における「雑務」が分かりやすい。雑務というのは一般的に形式化されたルーティンワークであり、退屈であるという印象が持たれやすい。1日8時間の全てを雑務に費やせと言われると早々に投げ出したくなる気がするが、一方で全く雑務のない1日のスケジュールというのも個人的にはメリハリがなくて苦手である。

高い集中力を必要とするプログラミングのような業務をこなしたら、今度は脳への負荷が低い雑務をこなし、またしばらくしたら集中力が必要な業務に着手する。このルーティンが心地よいのである。おそらく「根尾選手の野球が完成する」と言われていたニュアンスは、こうした個々人の仕事に対するバランス具合のことではないかと思った。

これまでのように野手として日々のほとんどの時間をバッティングに費やしていた時期よりも、投手に転向して隙間時間でバッティング練習をするくらいの方がむしろ芽が出る可能性はあるのかもしれない。継続的に大きく成長するということはもちろんないかもしれないが、復調のきっかけを掴むくらいであれば十分考えられると思う。そうすれば、その後もバッティングもそこそこ良い投手として今後も活躍できると良いのではないか。かつての桑田投手のように。

ここまで書きながら、これって人間関係にもよくあることだよなあと思った。いわゆる、ある程度の距離感で接する分には心地よい間柄だけど、じゃあ四六時中24時間一緒にいられるかというとそれはしんどいみたいな。かといってそれが仲が悪いかというとそういう話でもなく、適度な距離感の問題。根尾選手とバッティングの関係性もきっとそうなのかなと思った次第。今後に期待です。

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