前回書いたカメラブランドの「Leica」の話とも関連し、最近私が考えている「オリジナルをリスペクトしたい」という考え方について、今回は書いてみようと思います。
前回の記事内では触れていませんでしたが、Leicaを語る際に重要なことのひとつとして、「35mmフィルム」を初めて規格・製造したメーカーであるという点が挙げられます。このサイズ規格がカメラ業界に普及し、100年以上が経ってアナログからデジタルへの変遷を遂げた現代においても「フルサイズ」という呼称で様々なメーカーがこの製造規格を踏襲しています。いわばカメラ業界におけるパイオニアと呼べる存在と言って良いでしょう。
このように、その業界において技術的優位性を武器に道を切り拓いたパイオニア(=オリジナル)となるメーカーを、私はリスペクトしたいと考えています。
カメラ以外の例を挙げるとするならば、ロボット掃除機におけるiRobotもそうでしょう。今でこそ、国産・海外メーカー問わずさまざまなメーカーがロボット掃除機業界に参入し、家電量販店に行けば選択を迷うほど多彩なラインナップが充実していますが、そのシーンを切り拓いたのは間違いなくiRobotでした。また、さらに古い例になりますが、ワイシャツの歴史におけるブルックスブラザーズもオリジナルであると言えるでしょう。とりわけ襟の部分が安定するためのボタンをあしらった「ボタンダウンシャツ」はブルックスブラザーズによって考案され、現在では様々なメーカーが取り入れるスタンダードとなりました。こうした技術的な発明点があると、私としてはより一層そのメーカーに対するリスペクトが強まります。
また、こうしたリスペクトの感情はそのまま購買意思へと繋がります。つまり私の場合、ロボット掃除機を買う機会があれば迷わずiRobotを選びます。洋服となるとそこまで厳密には難しいですが、それでもブルックスブラザーズのボタンダウンシャツのように、そのメーカーとしての発明部分があるアイテムを率先して手にとるでしょう。堅苦しく感じられそうな物の選び方ではありますが、そのアイテム周辺の歴史や技術的な特長を調べながら買い物をするのは割と楽しいです。買い物をするのと同時に、少しだけその領域に詳しくなれるような。