Wordleというサービスが面白くて悔しい

今年の頭くらいからインターネット上で流行しているブラウザゲーム「Wordle」。特にTwitterではこれでもかというほどプレイユーザの投稿が流れているため、このゲームの詳細について改めて説明する必要はないでしょう。御多分に洩れず私もこのゲームにすっかりハマってしまいまして、日課のように毎日楽しんでいます。

そしてさらに、流行の熱が冷めやらぬ今月の頭、衝撃のニュースが飛び込んできました。New York TimesがこのWordleを買収するというのです。

(参考記事:New York Times、人気ゲーム「Wordle」を買収 数億円規模か

このスピード感はいまどきのインターネットという感じ。国内で言うと「質問箱」の買収事例などが同じような早さで世間を驚かせました。

ただ、このニュースを読んでみて、私はその買収の事実以上に面白い内容が書かれていると感じました。一部を抜粋すると、

ウォードル氏はこのゲームを最初、The New York Times(以下NYT)のクロスワードパズルの大ファンである恋人、パラク・シャー氏のためだけに開発したという。このゲームを知った親戚が夢中になる反応を見てネットで公開したところ、公開後2カ月で30万人以上がプレイするようになった。

とあります。面白ポイントをピックアップすると、

・ゲームタイトル「Wordle」は作者の方の名前「ウォードル」に紐づいたものである
・今回の買収先であるNew York Timesは、元々の開発のきっかけとなったメディアでもある
・1人の恋人のために開発したゲームが、世界中で遊ばれる大ヒット作品となった

などなど。この短い文章の中に極めてファンタジックな事実が3つも隠されているのです。絵本の中のお話かな?と思いました。いやはや、素晴らしい開発裏話。

私はこうした牧歌的なエピソードを読んで和むと同時に、とにかく悔しいなという感情も抱いています。それは、このWordleのようなゲームは私が最も好物とするコンテンツの1つだからです。

その特徴をピックアップすると、「簡潔で」、「短い時間で楽しむことができ」、「文化圏や年齢によらず誰でも楽しむことができる」というものです。過去に同じような特徴を持ったバズコンテンツで言うと、DOTSTHREESが挙げられるかと思います。私自身が過去に個人制作で作ってきたものについても、こうした作品の価値にはまだまだ到底及びませんが、同じように前述した3つの特徴にフォーカスを当てて作ってきたものが多いと思っています。

今回のWordleというゲームは、それらの特徴を完璧に近いほど満たしていた。プレイするたびに、面白いと感じる気持ちと同じくらい悔しい気持ちが湧いてきます。かつての同僚で、こうした悔しさと嬉しさが入り混じった気持ちを「うれくやしい」と表現していた先輩がいましたが、まさにその気持ちです。

また、今回感じた気持ちのように、自分が本来作りたいものの方向性を定期的に再確認することは大事だと思っています。正直、今回のようなうれくやしい気持ちになれたのは久しぶりだったため、「そういえば自分は元々こういうのが好きで作りたかったんだ」と思い起こさせてくれる機会でもありました。この方向性の軸を羅針盤のようにして、見失わないようにしていけたらと改めて強く思っています。

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