状態は検索できない。

先日、沖永良部島に行ったときのこと。二日目の朝に、和泊町にある「和泊町歴史民俗資料館」という場所を訪れました。中は、まあ至ってふつうの歴史民俗資料館といった感じで、すごくおもしろく展示物を見ていたのですが、そのなかに、その昔使われていた農機具があったんですね。

たしか、稲をどうにかするタイプの農機具だったのですが、その器具には歯車が付いていました。大きな丸板に直接取り付けられたハンドルを回し、複数の歯車に回転力を伝導させ、中央部の本体を回転させる機構になっていました。そのとき、歯車をよく観察してみたのですが、なぜ複数の歯車を介して回転力を伝導させるか、ということがわからなかったんですね。もともと機械工学を学んでいたのに、そんなこともわからなくなってしまってすごく残念だったんですが。そんなことはさておき。

で、その機構の謎がどうしても解きたかったのですが、考えてもわからなかったので検索することにしてみました。…、けれど、そのときに困ったのですが、そういう状態のときって検索する言葉を持ち合わせていないんですね。目の前にその物体はあるのに、それを言葉にすることができなかったのです。その歯車列が特殊なもので、固有名詞がついているもの(ラックアンドピニオンとか、遊星歯車とか)であれば検索できるのですが、単にくみあせの問題なので、固有名詞にはなっていないわけです。そのため、その状況を検索することはできませんでした。

結局、そこでもやもやを抱えることになり、今日を迎えてしまったのですが、ここで得た教訓は「状態は検索できない」ということ。画像検索できるものはいいですが、そのようになにかとなにかを組み合わせられたもの、つまりそういう「状態」はそのまま検索することができないのです。それは、検索という行為が、基本的に言語に頼っているからでしょう。もし僕の脳内のイメージを直接読み取って、その要素を検索することができれば、その歯車列の謎は解けたかもしれません。

状態が検索できる世の中になるころには、思考をすべてそのままダイレクトに他者と共有し、意思疎通できるので、言語が不要な社会になっていることでしょう。そのときに、最も必要とされる能力は「発想力」であることは間違いないでしょう。

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