ファーストリテイリングの柳井さんが、「目標のない努力は、同じところをグルグルと回っているだけだ」と仰っていた言葉が印象に残っている。すごくよくわかるなぁと思った。一生懸命頑張る、というのは難しいようでいて実はとても簡単な作業である。特に、いわゆる「頑張る」ことが苦でない性格の人間にとっては、なんら大変なことではなく、むしろ頑張っている自分を感じられる状態の方が気持ちよかったりする。
だからこそ、怖い面もある。「一生懸命やっているのだから、やがて高みに到達するはずだ」という、浅はかな考え方を無意識にしてしまうことだ。ところが現実にはそうではない。一生懸命何かをやっていたとしても、それに目標が伴っていなければ、努力のベクトルがチグハグになってしまい、同じところをグルグルと回る結果になる。
僕は数年前から毎年、年初にきちんとした目標を立てているのだが、年を経るごとに目標の作り方が難しくなってくるのを感じる。目標のレベルも年々上げていかなければならないからだ。油断をすると、去年の目標にちょっと毛が生えたレベルのものになってしまう。そうやって頭を悩ませながら目標を考えていると、自分自身の目標設定のセンス自体が、人の成長角度を決定づけると言っても過言ではないように思えてくる。自分が目指す理想像と、それに対して足りない能力との差分を見定め、目標という一つの具象的な事柄に落とし込むというスキル。基本的なことに思えるが、定期的にこれを適切に設定し、実行できる人は間違いなく自分の理想をかなえられるだろう。
間違った方向に全速力で向かうよりも、ちゃんと自分が目指す方向にコンパスを定めた上で、ゆっくりとしたスピードでも着実に近づきていきたいと思っている、この頃なのでした。