先日、とあるWebサイトの人物紹介のページを見ていたところ「行動派」という文字が目につきました。「行動派」。普段ならなにも疑問に思わないところなのですが、そのときはなぜかこの表現が気になりました。「『行動派』ってなんだろう」と。
何か表現に疑問を持ったときは、その反対の表現を考えてみるようにしています。たとえば、この場合は「非行動派」という存在について。
そもそも「非行動派」という性質はありえるのでしょうか。「行動的ではない(積極的に動くタイプではない)」人はそれなりにいると思いますが、そうした人たちも少なからず社会生活を送るうえでなにか行動を起こしているはずです。睡眠とか、食事とか排泄とか、それらはすべて「行動」です。つまり、「あまり行動的ではない」人こそいれど、「まったく行動しない」という人はいないといえます。いるとすれば、すでに死んでいる生物です。
一方、もとの「行動派」について考えてみると、おそらくそこで言いたいことは「積極的に行動するタイプである」ということでしょう。それを分かりやすく「行動派」と表現しているのだと推測できます。行動しない人はいないので、「行動派」という表現はおかしいのですが、そこらへんを考慮せずキャッチコピーとして使っているのでこういう矛盾が生じるわけですね。
こういう、よくよく考えてみると「ん?」と思うような表現はよのなかにたくさん転がっています。「負けず嫌い」も、「負ける」ことが嫌いなので本来は「負け嫌い」であるべきです。日本語は難しいですね。