いま、僕らが会社として売上を立てているメインの事業はWeb制作業です。クライアントの求めるWebサイトを作って納品する、といういわゆる受託開発型の事業で、そのほとんどがオーダメイド。クライアントは、広告代理店や同業種の企業から下請けという形で請けたり、中小企業や個人から直接依頼を請けたりと、さまざまです。
一貫して言えることは、この事業は在庫を持たない事業であるということ。オーダメイドで、かつ物理的なモノを売る商売ではないので、元手がかかりません。お客さんは、それを作る人に「スキル」や「ノウハウ」にお金を支払うことになるので、支出の大半は人件費ということになります。
一方で、いま受託のWeb制作以外に手がけている焼酎のサービスは、そのまさに逆で、モノを売る事業。在庫がその分必要になりますし、仕入れる費用もその分かかってきます。このように、物理的に在庫を抱えてモノを売る事業と、そうでない事業の両方を手がけていると、そのどちらかをやっているだけでは気が付かないことでいろいろと発見があります。
一番分かりやすいのは、輸送費。例えばWebサイトを作って納品する場合は、データを送信すればいいだけなので、わざわざトラックに積んで長距離を運転するなんて必要はありません。比喩でもなんでもなく、ネット環境にいさえすれば、一瞬でクライアントに届けることができます。一方、モノを売る商売では、仕入れる際には仕入れ業者から配送してもらう必要がありますし、売る際、例えば通販の場合は送料をかけて輸送業者を通じてお客さんのもとに届けてもらうことになります。
「納品物を納めるとき、実際に運ぶ必要がある」ということは、モノを売る事業を立ち上げるようになってから実感したことです。なじみがある方にしてみれば「そんなこと、当たり前じゃねぇか」と思われそうなのですが、そんな当然のことすら、新鮮に感じられます。
そんな風に、実際にモノを売る商売とそうでない商売を行き来することで、互いに見えなかった商売におけるメリットやデメリットが見えてきて、とても勉強になります。おそらく、僕らと逆の立場の方々からすると、僕らの仕事の方法も不思議に映る部分はあるかもしれません。客観的に見ることができるようになると、立体的に捉えることができるので、より正しく認識することができるようになります。