「前向きに検討します」というセリフを聞いたことがある人少なくないかもしれません。もっというと、実際に使ったことがある人もいると思います。かくいう僕も「前向きに検討します」ということは1〜2度使ったことがあって、そのときは本心から「前向きに検討したいな」と、つまりその企画なりアイデアなりをできれば実現させる方向で話を進めていきましょうか、というテンションのときに使いました。
ただ、「前向きに検討」することはあっても「後ろ向きに検討」という言葉を耳にする機会はあまりないよな、とふと気が付きました。「後ろ向きに検討」というと、それこそ文字とおり受け取ると後ろ向きに、ネガティブに捉えられてしまいそうですが、全部が全部がそうとは限りません。そもそも、「後ろ向き」ではあるものの検討しているのです。少なくとも全く検討に値しない、というレベルは超えてきており、検討はするレベルに達している、ということは間違いないでしょう。
また、「後ろ向き」というのも、決して「できれば実現させたくない」とかそういうネガティブな方向に舵を切るだけではなく、「できれば実現させたいけど、ここはひとつ慎重にいきたい」みたいな場合も「後ろ向きに検討」することと思います。そもそも、前がどちらを向いているのか、後ろがどちらを向いているのかわかりませんが。いずれにせよ、「後ろ向きに検討」した結果、「前向きに検討」する場合より、より確実に、その後の運用までを見据えた検討ができるのではないでしょうか。
慎重であることは、物事の成功確率を上げるための重要な要素だと考えているので、ある意味では「前向きに検討」する場合より「後ろ向きに検討」する場合の方が成功確率は高いのかもしれません。むしろ、前向きに検討する場合は、当事者がただ「やりたい」と思っているだけであって、合理性には欠けるかもしれない。それよりは、「後ろ向き」だけども、最適解っぽい選択肢を持っている場合、それを選ぶのが最も効率はよいのではないでしょうか。いかがでしょう。
最近は、個人的にもいろんなことを「前向きに検討」していきたいと思っていますが、本当に重要なのは「後ろ向きに検討」せざるを得ないことだったりします。つまり、「後ろ向きに検討する」ということは、「後ろ向き」になってまで「検討」に値するということです。だとすると、そっちのほうがよっぽど回答としては優れていそうだ、というのは伝わりますでしょうか?