ビジネスにおいて「問題を解決するより、問題を見つけることの方が難しい」とよく言われます。なので、経営層は焦点距離を少し遠くに定め、問題を見つけること、問いを立てることを重要な役割として担うことが求められます。一方、目の前にある問題を解決するのは、周りにいる優秀な部下に任せればいい。経営層とそうでな社員の差はそこにあります。
ずっと社員という立場しか経験したことがない人にとっては、無自覚かもしれません。けれど、社員が全うする職務は、その上のレイヤーの人が獲ってきたり、作り出した仕事なのです。もちろん、それだけ抱えている責任が違ったり、またそれはフィーにもダイレクトに反映されることであり、どちらが偉いとかすごいとか、そういう次元の話ではありません。会社という組織を構成していくうえで、誰がどの役割を担うか、というだけの話。そして、その「偉さ」はちゃんと賃金に反映されています。
翻って、個人の活動の話として考えると、これは、ものづくりにおいても言えることだなと思います。すなわち、「問いを立てること」は「作るものを見つける/探す」ことで、「問題を解決すること」は「そのものを作ること」と言い換えることができます。
そして、ビジネスと同じように、ものづくりでも「何を作るか」を決めるのがいちばん難しい。もちろん作りたいものはいくらでもアイデアとして浮かんできますが、いま自分の持てるスキルや、T・M・S(時間・お金、場所)などを勘案したときに、その最適解を導くというはなかなか難しいのです。逆に、一度決めてしまえばあとはその方法を調べ、実行するのみです。
例えば、このブログにしてみても、「何を書くか」が決まった時点でもうほぼ半分は更新は終わったようなものです。事実、テーマを決めるのに20分、執筆に15分、みたいな時間配分はざらにありますし、本文のテキストを入力する作業より、何を書くかというテーマ設定のほうがはるかにエネルギーを使います。
「どうやるか、よりなにをやるか」の方が難しいというのは、いかなる世界においても鉄則なのかもしれません。