顧客の反応と、クリエイターの拘りのバランス

以前ブログでも紹介した「仮説ドリブンか、データドリブンか」という記事内でも少し触れているように、Googleのようなテクノロジー企業ではデータ第一主義の思想を持ったところが多く存在します。

少しでも議論が堂々巡りになってしまいそうな場合には、A/Bテストを実施して顧客に是非を問い、そのデータを元に再び議論をしようという文化を持っているのです。

弊社でも最近はデータドリブンを意識しながら、PDCAを回す際にはとにかく顧客の反応が良かったものを優先的に高く評価し次のサイクルへと回していたのですが、最近では「顧客の反応」にばかりフォーカスし続けていると、それはそれでバランスを崩してしまうのではないかという懸念が生まれてきました。

何事もバランスの問題なので当然な話だとは思うのですが、仮に顧客の反応を100%信じてプロダクトを改善していった場合、最大公約数的なすごくつまらないアウトプットが最終的に出来上がってしまうように思います。

例えば、佐藤可士和氏の作るロゴやCIは、リリース当初は概ね批判的な意見を買うことが多いですが、1〜2年もするとそれが良い意味で市民に根付いてきて、「あれ、案外これも悪くないな」→「いや、これじゃないともうしっくり来なくなってきたな」という順序で、徐々に親しみの湧くようなクリエイティブに成長していきます。

逆に最大公約数的なデザインだと、人々に対する第一印象は良いのかもしれませんが、その分飽きられるのも早く、賞味期限の低いデザインが量産されてしまいがちです。

繰り返しになりますが、良いクリエイティブを担保するには「顧客の反応」と「ディレクターのセンス」をバランス良く組み合わせてアウトプットに繋げていくことが重要であり、ディレクターはそのコントロールに常に気を配らなければならないと感じています。

顧客の反応に合わせてプロダクトの方向性を舵取りしていくだけでなく、それに加えてディレクターの頑固なセンスが組み合わさることで初めて、唯一無二のクリエイティブを持った、人の心を動かすプロダクトが生まれてくると思っています。

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