あの頃の先輩の気持ちがわかってくる

凄腕で厳しいディレクターと一緒に仕事をするときは、締切間際にも関わらずビックリするくらい大胆な指示をされることがあります。その大胆な采配に確かな審美眼があるから凄腕ディレクターだと評価されているのだと思いますが、それでも下についたメンバーたちはどうしても「おいおい…このタイミングでマジカヨ…」みたいな気持ちにはなってしまいます。(笑)

かく言う僕も締切間際に大胆な仕様変更や指示を受けると、「おいおいマジカヨ…今までやってきたことがパーじゃないかぁ…」などと思いながら、「この人、腕は良いけどちょっと友だちにはなれないタイプだな…」と考えたりしていたわけです。自分はリーダーのポジションについても、どんでん返しをするようなディレクションは絶対しないようにしよう、と。

ところがどっこい。いざ自分が上のポジションに、まぁ曲がりなりにも立つようになって制作物に関する一切の責任を負う立場になると、あのときの凄腕ディレクターの気持ちがすごくよくわかるのです。

例えば、締切2日前。1ヶ月ずーっと良いものにしようと頑張り続けてきたプロジェクトの終わりに差し掛かった頃。いつものようにその日も朝起きてからプロジェクトのことを考えていると、最後のもうひと押しを加えられそうなブラッシュアップのアイデアがパッと思い浮かぶということが往々にしてあるのです。こんなとき、僕の中では葛藤が生まれます。「これやったら絶対今より1.5倍良くなる…。でもこのタイミングでこれ切り出すと、プロジェクトメンバーは嫌がるかもしれない、が…。」
同じ葛藤が、きっと凄腕ディレクター先輩にもあったのだと思います。こういうとき、プロジェクトメンバーの気持ちに遠慮して、このアイデアを心の中にソッとしまっておいたらどうなるでしょう。それはむしろ、今まで一緒にいいものを作ろうとしてきたメンバーにも、制作物を届けるクライアントにも、それを楽しんでもらうユーザに対しても失礼なんじゃないか、引いては制作物の責任を負うものとして失格なんじゃないか、と思うのです。

そして、その日の朝に「ここをこうしたら、きっと今よりもっと良くなると思うんだ。時間はないけど、やったほうがいいと思う。どうだろう?」と、持ちかけるのです。
なるほど。あのときの先輩も、乱暴なディレクションが好きだったわけではなく、おそらくこうした葛藤を抱えた上で、それでもやったほうがいいという判断をした先の行動だったんだな。年を重ねることで、先輩が言っていたことや置かれていた立場での気持ちがわかるってことは、すごくよくありますね。

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