ポリシーは否定形の方が厳格であるという話

明確なビジョンを持った会社を作るには、何をやるかよりも何をやらないかをよく考えなさいというのはよく言われる話です。僕はこの類の話を聞く度に、Googleのかつての企業理念「Don’t be evil」を想起します。これは非常にシンプルかつ優れた理念だと思っています。

というのも、特にインターネット黎明期においては、技術力を持った人はそれを悪用して自分だけ儲けようとすればいくらでも簡単にできた時代でした。ところが技術的に最先端を走っていた大手Googleが「Don’t be evil」を掲げていたおかげで、技術革新が悪い方向に走らずに、人の役に立つ方向に正しく進みました。「Don’t be evil」はそんな素晴らしい理念なのですが、この理念が人を惹き付ける理由の1つに「否定形であること」が挙げられると思っています。

実はGoogleがグループ会社化して、Alphabetへと社名変更するタイミングでこの理念も変更されています。「Don’t be evil」から「Do the right thing」へと変わりました。面白いですよね。意味合いとしてはほぼ一緒なのですが、否定形を肯定形に変更したわけです。つまり、同じことを言っていても、否定形と肯定形だとそれだけ伝わるニュアンスが異なることを示しています。
Googleの公式声明では、「GoogleがAlphabetへとグループ会社化し、より幅広い事業を手掛けていく中で、“Don’t be evil” という言葉が障壁になる場面が出てくるようになった」という旨のことを述べています。つまり、人工知能や自動運転の分野など、解釈によっては“evil”と捉えられるような事業も手がけるようになったため、より許容範囲を広げるべく「Do the right thing」に変更したようです。すなわち、同じことを言っているように見えて、「Don’t be evil」の方がより厳格にルールを規定していた、ということです。

このように、肯定形よりも否定形のほうがルールを厳格に定めるという話は、数学的に言うと「存在することを証明するよりも、存在しないことを証明するほうがずっと難しい」ってやつに似ています。存在しないことを証明するためには、1つでも例外が認められたらアウトですから。僕らも「もっとよくばる」という理念を掲げていますが、「よくばらないことはしない」という理念だと今よりずっと難しいと思うんです。それくらい、否定形の言葉は強くてエッジの効いたパワーを持っています。

 

否定形の言葉で定めるポリシーは、使いようによっては「明確でわかりやすいルール」にもなるし、行き過ぎると窮屈にもなりうるパワーワードです。弊社もそろそろ創業から1年が経とうというタイミングで、なんとなく会社の文化というものが醸成されてきました。まだ明確には言語化されていないのですが、会話の中で出てくるのは「◯◯なことはしないようにしよう」というように、やはり否定形であることが多いです。ユニクロを運営するファーストリテイリング社は、経営をしていく中でどんどん理念をアップデートして増やしていったそうです。僕らも「もっとよくばる」という大きな傘の下、小さな理念を作っていくのも良いなと思っています。そのときは、この否定形のパワーをうまく使って、明確でエッジの効いた言葉を選ぼうかと思っているところなわけです。

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