「フリクションボール」のすごさは、ボールペンの評価基準をがらりと変えてしまったこと。

「フリクションボール」と呼ばれるシリーズのボールペンがあります。摩擦で線を消すことができるボールペンで、文房具を普段から使う人のなかで知らない方はいないんじゃないでしょうか。

▼このボールペンです。

 

学生時代から文房具が好きでさまざまなペンを試して取っ替え引っ替えし…、というのを繰り返していたので、このフリクションボールが出た当初はもちろん僕も試して使っておりました。

そこではうまく定着せずにまた別のボールペンを使ってきていたのですが、ここ1年くらいですっかりこのフリクションボールにハマってしまい、いまでは普段使いの筆記にはほぼ全てこのペンを使うようになりました。(フリクションボール以外だと、ぺんてるの「エナージェルユーロ」やPILOTの「Vコーン」も好きです。)

このペンの最大の特徴かつ最強の武器は「ボールペンなのに消せる」ということです。10年前の発売当時、「消せるボールペン」としてはじめて目にした時、それはそれはエポックメイキングな商品が出たと、胸を躍らせたのを覚えています。

そしてさらに、最近はいち消費者として、この商品の強みのもう一つ先の段階まで感じるようになってきました。それは、ボールペンなのに「消せる」ことに慣れてしまったら、他のボールペンにはなかなか戻ることができない、ということです。

フリクションボールの「消せる」というメリットは他のボールペンにはない突出した特徴である、というところまでは普通にわかると思います。さらに、これに慣れすぎると「消せる」ということが当たり前になってしまい、「消せない」一般的なボールペンがなにか大きな欠陥を抱えているような気がしてくるんですね。要は、「消せない」ことが当たり前でありボールペンの評価の基準だったのですが、フリクションボールにハマって以後、少なくとも僕のなかでは「消せる」ことが基準になってしまったんです。

しかも、「消せる」ということがあまりに画期的すぎるため、「消せない」となると、歯がたたないくらい劣っているように感じます。実際に、フリクションボールより書き味がよいペンはいくらでもあるのですが(実際僕はフリクションボールの書き心地は正直そこまで好きではありません。)、「消せない」というただ1点の欠点(のように感じてしまう)によって却下されてしまいます。

これはすごいことで、もう一度こうなってしまった以上、その他の「消せない」ボールペンはこれを上回るイノベーションを起こさない限り厳しい。

これは文房具業界の話ですが、このように「とあるひとつの画期的な商品のおかげで、その商品群の評価の軸ががらりと変わってしまう」ということは他の業界においてもありえそうです。もし思いつくものがあれば教えて欲しいです。

 

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