最近、焼酎業界の周辺の方々といろいろとお話をさせていただく機会が多いのですが、そのたびに「不安」と「期待」の両方を感じます。
これからの焼酎業界を不安視するだけの要素はいくらでもあります。高齢化に伴う人手不足はもちろんのこと、若い世代がお酒を飲まなくなってきているというトレンドもあります。また、最近では、飲み放題禁止を推奨するアルコール規制の声が上がるなど、明るい展望とは言い難いのが現状です。
やはり、いろんなところで「若い人が飲まないからねぇ…」と嘆く声が聞こえ、事実としても体感としても、そういう現状があるようです。
一方、焼酎をつくる杜氏のなかには、世代交代をして若い方もたくさんいらっしゃって、その方々の動きが目立っているというポジティブな印象もあります。
参照:鹿児島焼酎の挑戦、異業種とコラボで地元発信 (Wedge) – Yahoo!ニュース
実際に、県外に一度就職のために出ていったものの、「どうにかしたい」という思いとともに若いうちから跡を継いでいる2〜30代の杜氏の方も、少ないながらにもいらっしゃいます。そうした方々は、皆一様に上記のような現状を正面から受け止め、「何かを起こさないといけない」と感じている方も多いようです。
黒木さん:コーヒーでは「サードウェーブ」という言葉がありますよね。焼酎もそうなんじゃないでしょうか? 前回のブームで焼酎は大衆化しました。これからは、焼酎の原料や製法、飲み方など、こだわりを比べて楽しむ時代になる。
若松さん:焼酎はローカルでクラフトで、シングル、そして原料はフレッシュ。糖質もプリン体もないからヘルシー。食に対する近年のキーワードを、焼酎はとっくの昔からやっているんですから。それって僕らがもう一度伝えるべき。本当に食を楽しむ人にこそ、価値をわかってほしいですね。
さまざまな制約があり、かつ状況もよくない。けれど、他業界でスキルを身に付け、満を持して蔵に戻って、新たなムーブメントを起こす。おそらく、こういうことが起こりうるのが、いまの焼酎業界なんじゃないかと。いわゆる、「背水の陣」のような。そういう気概を感じています。
「おもしろい」という表現はやや不謹慎なのかもしれませんが、これからにワクワクできる業界のひとつと言ってもいいと思います。