代案が出せたときは気持ち良い

企画におけるアイデアというのは大きく2つの種類があると思っています。
1つは、ゼロベースの段階から新しく企画の種となるアイデアを生み出す「発案」、そしてもう1つが、その案がなんらかの理由でうまくいかなくなったときに求められる「代案」です。

一見すると発案の方が華やかであり、発案を出した人はプロジェクトの第一人者になりうる可能性を持っています。それに比べると代案というのはやや控えめで地味な印象がありますが、上手くピター!っとハマるような代案が出せたときには、うまい発案が出せたよりもずっと気持ち良かったりします。

発案をするときと代案を出すときでは頭の中で使う筋肉が全く異なります。発案をする段階では、とにかく0→1のアイデアを質・量ともに出さなければならないので、マインドマップやマンダラチャートといった手法を使って閃きを促します。一方で代案の場合は、課題解決の考え方に近いです。「これがダメならこれで代用できないか?」「そもそもこれって不要ではないか?」など、与えられた条件にハマるような代替策を練ります。つまり、発案は足し算的な思考を求められますが、代案は引き算的な思考を求められるのです。

プロジェクトを進めていると、スケジュールの問題やフィジビリティの問題によって、当初の予定通りに進められなくなる事態がしばしば発生します。このこと自体は悪いことではなく、どうしても一定確率で起こってしまうものとして構えていたほうが良いと思っています。むしろ、こういうときにうまく方向性を切り替えられるような代案力を備えていることの方が非常に重要です。つまり、こうして何か予期せぬ事態が発生したときには、「うまい代案を考え出してこの事態を切り抜けよ!」というお題が与えられているんだと考えれば、ポジティブに捉えることができます。

そしてときには、引き算して代案を出した結果が、本来の案よりも良いものになったということも珍しくありません。不要な要素が削られることで、むしろシンプルになってわかりやすくなる傾向にあるためです。そうなるためにも、代案は必ず代案であるべきであって、妥協案であってはならないと考えるようにしています。

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