「生のやり取り」のある仕事。

主にウェブを主戦場とする仕事をしていると、そこで「生」のやり取りをしているという実感が生まれにくいです。ほぼ100%、納品物の形態はデジタルデータで、それをオンライン上で送り合っています。「ZIPにまとめて納品」というのはまだわかりやく、場合によってはもっとぬるっと、サイトをウェブ上に構築すれば納品完了、という形態の案件もあります。

デジタルデータのやり取りなので、お客さまに商品を手渡すということもなければ、目の前で食べて「美味しい」と言ってもらうこともありません。ここでいう「生」のやり取りとはそういう意味で、「即時性がある」ということではなく、どちらかというと直接的な、ダイレクトな関わりのことを指しています。もちろん、僕らもクライアントと直接チャットを使って連絡を取り合いますが、それは別にネットさえつながっていればどこにいてもできることです。

漁師さんが海で獲ってきた魚を目の前でその場で食べてもらうように、マッサージ師がお客さんのコリを直接もみほぐすように、豆腐屋の主人が豆腐を作って地域の人に食べてもらうように、そういう生のやり取りが今日もどこかで行われていて、それを大切にしているところがある。

別に、どちらがどう、というわけではありません。それは性質が違うというだけのことです。けれど、2つの選択肢が目の前にあるとき、「どちらか一方しか知らない」というのと「どちらも知っている」というのは全く話が変わってきます。

たとえば、納品するZIPデータをCD-Rに焼いたり、USBフラッシュメモリに入れて、丁寧に包装して、買い物袋に入れて、会社ロゴの入ったビニール袋に入れて持って帰ってもらう。そういうのもおもしろいんじゃないかなぁ、と。デジタルのものを強制的にアナログに変換して、「生のやり取り」を生み出すのも、それはそれで面白いんじゃないかと思います。

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