「ウィルパワー」という概念があります。これは、メンタリストのDaiGoさんがよく本のなかでおっしゃっているもので、超ざっくり言うと「意思決定にかかるメンタルコスト」です。
特に、「ウィルパワー」の話が面白かったです。人間は意思決定をすることに最も心理的負荷を要するから、できるだけウィルパワーの消費を抑えるようなタスクを組むことが集中力を長時間維持するための鍵だ、という話でした。
このことを学んでから、スケジュール調整などのウィルパワーを多く使うタスクは、その日の朝一番にするようにして、確かに捗るようになりました。
最近は、自分が仕事をするときだけでなく、さまざまな方とコミュニケーションをとるうえでもこのウィルパワーを気にするようになりました。
例えば、めちゃくちゃウィルパワーを消費するだろうなと感じる作業に、「デザイン案の決定」というものがあります。ディレクターがデザイナーからもらったデザイン2をどちらで進めるかという場合や、その後の工程での決裁者のデザイン案の意思決定において、とてつもなくウィルパワーを消費するのだと思います。特に、コーポレートサイトのような企業のブランドイメージをそのまま体現するような場におけるデザインなどは気を遣うでしょう。
そういうとき、ウィルパワーについて少しでも理解があり、考慮できるかどうかで、コミュニケーションの質は変わってくるので、それができるというのは、意思決定をしてもらう側の立場の人間としては重要なスキルになってきます。「この確認作業はウィルパワーをすごく使いそうだな…」と感じれば、確認の回数を分散したり、枝葉の部分の確認は後に回したり、そういう選択肢も出てきます。これを柔軟にできるかどうか、はウィルパワーの概念に対して理解があるからに他なりません。
クライアントと対峙するディレクターとして、「ウィルパワー」は常に意識しておきたいものです。