業界ごとの時間感覚の違い

新しい自社事業の立ち上げに向けて動いています。現段階では、鹿児島県内で伸びている業界、逆に不満を抱えている業界を調べ上げ、その中から特に可能性のある5つの業界に絞り、各方面の関係者のもとに足を運んで話を聞かせていただいたり、実地調査を進めているところです。

このように、事業立ち上げに入る前の実地調査をこれまで以上に入念にやることを意識しています。そんな中で、特にハッさせられるのは業界ごとに異なる時間感覚の違いです。

Web業界は比較的時間感覚が早い方だと思います。小さいプロジェクトだと、キックオフからリリースまでの期間が1ヶ月くらいで終わってしまうものも珍しくありません。また、とにかく開発フローを高速で回すためのツールやライブラリなども日々刷新され、業界内に流れるスピード感はどんどん早い方向に向かおうとしています。

しかし、一歩違う業界に踏み入れると、スケジュールのワンタームが1〜2年で捉えられているところも珍しくありません。スケジュールを入力しているカレンダーを比較させていただくと、その違いは歴然です。例えばWeb業界にいる人間の場合は、スケジュールをそれこそ1時間刻み、30分刻みくらいで入れている人が多いでしょう。ところが、時間感覚が長い業界では、カレンダーの2週間くらいを丸で囲って、この期間は◯◯をする、くらいの感じでスケジュールが組まれているのです。

これは、その業界にいる人たちが仕事が早い・遅いという話ではなく、単純に扱っている商品の性質の問題です。食品業界などは出荷できる季節がそもそも決まっていたりするので、それに合わせて動くしかないのです。

このように、異なる時間感覚を持った業界の方たちと一緒に仕事をしようとしたとき、その感覚差を埋める工夫は結構大変だな、というのを最近感じているところです。Webサービスの場合だと、企画が固まってから、できれば半年以内には出したいみたいな暗黙の認識があると思います。ところが、例えば焼酎の新商品を出そうとなったとすると、コンセプト立案から試作、パッケージデザインや出荷準備など、諸々の手筈を整えるのに丸1年以上かかるなんてこともザラです。

ただ、たかが「時間感覚の差」だけで可能性のあるビジネスチャンスを無意識に門前払いしてしまうのは非常にもったいない、ということも同時に強く思います。そのため、自分の中で複数の時間感覚を使い分けながら、平行して進めようとトライしているところです。「3年がかりでやっとリリースされるプロダクト」なんて、この業界にいると中々味わえない体験です。それ故に、その景色も是非見てみたい。

(ちなみに、新聞業界や雑誌業界は、Webよりもずっと早いタームで動いているんだろうなと想像します。あれだけのコンテンツを毎日・毎週出している人たちは本当にすごい。)

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