「立場が人をつくる」ということを一度は聞いたことがあるかと思います。たとえ身の丈にあっていなくても、少し背伸びをしててでもそのポジションにつくことで、それまで以上の実力を発揮したり、成長を促してくれる、みたいなニュアンスですね。
これについて「そんなことあるか?」と疑問に思う方もいらっしゃるかと思いますが、じつはこれ、本当なんですよ。
小学生の頃にソフトボール少年団に入っていました。ポジションはずっとライト。4年生くらいの頃に行われた、とある公式戦でも、いつものようにライトの守備につく予定でした。ところが、ぼくよりひとつ上でサードを守っていた先輩が、その日体調を崩して試合に出られる状況じゃなかったんですね。当時サードはその先輩しか守れる人がいなかったので、「どうしよう。誰がやるんだ」という話になるんですね。もちろん。
で、なぜかサードは未経験だった僕が選ばれたんです。理由は、「なんとなく身体が丈夫そうだから」とかそんな感じだった気がします。サードは内野のなかでも特に速い打球が飛んでくるので、多少身体に当たっても大丈夫な人じゃないと難しいんです。とはいえ、監督もほぼたまたま僕を選んだのだと思います。
そんな経緯で恐る恐る初めて内野の守備につきました。すると、1回裏の守備で、驚くことに3回サードに打球が飛んできたんですね。いま思い出しても不思議なのですが、打者が全員いい感じのサードゴロを打ったんです。で、見よう見まねで全部捌けたんですね。サードゴロ×3で、交代。このときになんとなく、チーム的に「あれ、シモツ、サードいけるやん」みたいな感じになって、そこから卒業までずっとサードを守ることになりました。元々サードを守っていた先輩は、しばらくして辞めました。
この体験がちょっとした成功体験として強烈にイメージとして残っていて、「経験がなくても、やってみればできるようになる(意外になんとかなる)こともある」というのを肌で感じたんですね。
最後に、僕が勝手に尊敬している研究者であり映像作家の菅俊一さんのツイートを引用します。
ポジションが自分を作り上げるのは間違い無いので、自分にはまだ早いと思っても機会が来たらかなり無理してでもやるといいと思います。成長は右肩上がりの直線ではなく、断続的にポンっと跳ね上がる感じで来ます
僕らはいま「会社経営」という、まったく足を踏み入れたことのない領域の仕事をしています。本を読んだり先輩経営者の方からお話を聞くことはあれど、毎日わからないことだらけで、とにかく手探りの日々。けれど、分からないなりひとつひとつ学んだり、意識的に振る舞うことで、しだいに「経営者っぽく」なり、やがてちゃんと「経営者」になっていくものなのだろうと感じています。