経営者、特に中小企業の社長が書かれた本の中には、会社の「節約術」について語られたものが多く見受けられます。中には、鉛筆一本単位まできちんと正しく経費管理しているほど、キャッシュフローに関して厳しく細かく見ているところもあるようです。
もちろん無駄な出費を抑えることは当たり前に大切なのですが、会社として必要以上に財布の紐を固くしておくことに対しては、僕はやや懐疑的であります。よく、「経済は血液のようなもの」という表現をされることがありますが、特に会社で使うお金に関してはその側面が強いように思います。
弊社は、物品にお金を使うことはあまりないのですが、社外の方々とのつながりを生む活動であったり、事業への投資に対してはどんどんお金をつかうようにしています。そういう風に意識していると、まさに社会の「血液」の流れに自分の会社が上手く乗っかって、あらゆることがどんどん転がるようになっていきます。この、「転がるスピードを加速させる」効果がお金にはあるのです。
また、他社のIT企業が運営しているBtoB向け(企業向け)サービスについては、特に多くのキャッシュを割いて使わせていただいています。もちろん、それらのサービスを使うことで弊社の業務時間が短縮されるというメリットもありますし、同業社の出すサービスの仕様の視察や使用技術をチェックする狙いもあります。更には、他社のサービスを長く積極的に使っていると、自然とその会社の中の方と仲良くなるきっかけにもなります。そんなわけで、弊社ではかれこれ10社以上のBtoBサービスを月額有料会員として使わせていただいています。ちょっとでも必要だと思ったら、有料会員に登録してみるようにして、サービス内容や細かいユーザ体験などをチェックする癖がついているのです。ある種、これも投資のようなものですね。
会社(特にスタートアップフェーズ)は、物品は節約したほうが良いけれど、同業他社のサービスや外部とのコミュニケーションを加速させる事案に対しては積極的にお金を使ったほうが良い、という風に今は考えています。