最近、よくSNSで「ビジネスにおけるコミュニケーションツールとして”電話”はクソだ」という意見を目にします。中には、親の仇のように電話を掛けてくる人を忌み嫌っている人さえいるように感じます。
そういう意見を持つ理由としては、「電話は強制的に時間を奪われるからクソである」というものが最も大きいですね。うんうん、たしかに。よくわかります。正直、僕も電話のコミュニケーションは得意ではないので、特に休日によくわからない番号から携帯に電話が掛かってきても絶対に出ないし、まためったにこちらから掛けることもありません。
会社の新入社員の時代は、部署に掛かってきた電話を取るのは若手の役目だったのですが、ちょうどいいタイミングでトイレに立ったり、先輩に質問を投げかけたりと、「いかにして電話を取らずに1日を乗り切れるか」というミッションを自分に課していたくらいです。それくらい、当時はビジネスにおける電話でのやり取りが苦手でしたし、極力避けたいと思っていました。
そんななかSNSやブログで「電話を掛けてくるヤツはクソだ」という意見を少しずつ目にするようになりました。「うーん、まあ、そうかあ。」という感じで、その意見に対して僕もどちらかと言えば肯定して、電話嫌いを助長させていた面もあります。
けれど、特にいまのWeb制作という仕事をするようになってからは、この仕事のコミュニケーションにおいてその発想は間違っているということに気づきました。
特に、デザインにおける細かな修正指示の意図の確認や、こちらの提案内容を伝える場合、動きをつけたりする際の演出の方法についての確認をおこなう場合、テキストだけのやり取りでは到底ムリなことも多いです。そんなときに、「いやぁ、電話するやつはクソだって、世間はそう言っているしなあ」と、主体の分からないふわっとした意見を参考に電話というツールを選択肢から除外してしまうのは、やはり間違いなんじゃないかと思います。
前職時代、それに気づいてからというもの、使うべき場面では積極的に電話をかけていくようになったら、より円滑にコミュニケーションが取れるようになり、「こっちの方がラクじゃん!」と改めて気づきました。
結局、SNS等で大きく唱えられる声を過信しすぎないこと、これに尽きると思います。SNSで自分の周りにいるユーザー、目に入ってくるユーザーなんてホントこれっぽっちにも満たないわけです。その当時の僕には、「ネットのデカい声に振り回されない」という、教科書的な当たり前のネットリテラシーを持っているかどうかが試されていたのだと思います。
この話がなにかの参考になれば幸いです。