tofubeatsさんと楽曲でコラボレーションをしていたり、夏フェスにも毎年積極的に参加していたりと、未だに根強い人気を誇っている森高千里さん。僕もベストアルバムを良く聴くのですが、この方の凄さはその独創的すぎる作詞センスにあると思います。
「私がオバさんになっても」という曲は知っている方も多いと思います。まぁ、既にタイトルの時点で独創的な森高ワールドが展開されているのですが、歌詞をちゃんと聞いてみるとまだそれが序の口であることに気付かされます。
冒頭のAメロを聞いてみると、
秋が終れば冬が来る ほんとに早いわ
夏休みには二人して サイパンへ行ったわ
日焼けした肌まだ黒い 楽しい思い出
来年も又サイパンへ 泳ぎに行きたいわ
というフレーズから入ります。いかがでしょうか。すごく引っかかりというか、違和感を感じますよね。
日本語詞の中で “サイパン” レベルの具体性の高い固有名詞ってそうそう使われないじゃないですか。それが、わずか10数秒のフレーズの中で2回も使われている。迂闊にBGMとして聞いていると、引っ掛かりが強すぎて完全に脳内の集中力持って行かれます。
今度は「この街」という楽曲を聞いてみましょう。
でもこの街が好きよ 生まれた街だから
空はまだ青く広いわ 田んぼも
この街が大好きよ
のんびりしてるから 魚も安くて新鮮
すごくキレイなメロディで良い曲なんですけどね。僕はどうしてもこの「魚も安くて新鮮」という歌詞が流れてきたときに笑ってしまいました。
もちろんこれらは全て賞賛の意味で書いています。これだけ聞き手に対して、「ん!?」って思わせる歌詞を狙って書ける人はそうそういないでしょう。森高さんのキャラクター性も相まって、天才気質な方なんだろうと思わざるを得ません。
まだ有名な楽曲のサビくらいしか聞いたことがないという若い方にこそ、改めてちゃんと聞いてみてほしいです。すごくいろんな発見があると思います。