朝電車に乗っていると、たまに「目覚まし」の音が車内に鳴り響くときがあります。
スマートフォンからか何かわかりませんが、「ジリリリリ」とか「タラリラ〜ン♪」といった大きな音色がしばらく鳴るで、少し驚きます。(いまはかなり多くの方がスマホを目覚まし代わりに使っているし、実際に鳴っている人が音を止めるときに目覚まし時計のスイッチを押している場面は見たことないので、ほぼスマホでしょう。)
この現象、そんなに珍しい出来事でもないので、全く同じ経験をしたことがある方もいるんじゃないでしょうか。
普通、朝の満員電車なんかでけたたましくスマホの音が鳴ると「ちっ、うっせーなぁ」と思っちゃいそうなのですが、僕はこの現象が好きで、あまりそうはならないんですね。
好きな理由はいくつかあって、まず普段「目覚まし」のアラームなんて自宅でしか聞くようなものじゃないので、それが屋外の、しかも電車内という公共機関で鳴っているというギャップがおもしろく感じます。
一瞬、「…あれ? ここ俺んちかな?」という錯覚すら覚えます。その場違いな音が鳴っているという状況が「おもしろい」と思います。
次に、アラーム音の違いもおもしろい。
ごくごく稀に自分のスマホのアラームと全く同じ音が鳴ってすごく焦ってしまう…みたいなこともあるのですが、ほとんどが初めて聞く音です。
オーソドックスな、いかにも「目覚まし」っぽいアラーム音があったり、なにか映画のテーマソングだったり、その違いも人それぞれでおもしろい。普通、他人の目覚ましの音なんて聞かないじゃないですか。
最後に、「そもそもその電車に乗っている時間に目覚ましが鳴る」という状況がいちばんおもしろいと思います。
なぜかって、普段(なのか、その日はたまたま早かったせいなのか知りませんが)その人はその時間には寝ている、ということじゃないですか。
なので、そういう自体が起こるということは、やっぱりその人にとってはイレギュラーなわけです。
そういうときに、その人の佇まいや格好から、どんな理由で朝早く起きなくちゃいけなかったのか? みたいなことを考えるのがめちゃくちゃ楽しいんですね。
「人間観察」と言われるとそれまでなのですが、「朝、電車の中でスマホの目覚ましが鳴る」という状況からいろんなことを思い巡らすこと自体が楽しいんです。
こういうことって普段生活していると、スルーしがちです。
しかも、切羽詰まったり、余裕がないときに限って何も頭に入ってきません。そういう些細な違和感に気づき、おもしろがって思いを巡らせられる、そんな状態をキープし続けたいなと思います。