裁量を持ってから、我が強くなったように思います。
前職でも、最後の半年間はいまと同じくWeb制作のディレクターでした。エンドクライアントがいて、広告代理店が数社いて、自社にもチームがあってPMや他のディレクター、デザイナーがいたので、ポジション的にはかなり下っ端です。しかも新卒で、Web制作の現場のことはまだなにも知らない状態なので、基本的には先輩の指示を仰いで、それに従っていました。当時はペラ1のキャンペーン(キャンペーンの内容は決まっている)さえ手取り足取り教えてもらいながらの制作などしていました。
そこから約1年弱が経った今は、もちろん上司も同期もいないので、当然のことながらディレクターとして決めなければいけないことは全て自分の責任になります。
そんな急激な立場の変更を経て、ひとつ大きく変わったなぁと実感するのが「我が強くなった」ということ。仕事を進めるうえで、わがままな意見を持つようになったなと思います。
裁量を持ったことにより、自分の意見がアウトプットに反映される領域がかなり広がったので、このように考え方が変わるのは当然のことです。逆に言うと、以前は「どうせこの意見は覆される」とか「言ってもわかってもらえなさそうだな」という気持ちが少なからずあったんだと思います。いまは違い、そのまま採用されることが多いので、より慎重に、けれど、ちゃんと実現すべきものは実現すべきだと発言するようになりました。
また、そのような立場になったことで、いままでとは比較のしようがないくらい、制作の仕事を楽しく感じるようになりました。お客さんとの距離感も近く、「あぁ、こうやってできていくんだな」ということが、前職では見えていなかった部分まで見えるようになりました。
とはいえ、その立場になって危惧していることもあります。それは、「ただの自分の好みの押し付けになっていないか」ということを持つ必要があるということです。極論、クライアントとチームの人たち全員さえ納得させてしまえば、それが実現してしまうので、それが「ただの好み」であってもそれっぽい意見で通せてしまうこともある。ただ、そこは毎回1歩立ち止まって「自分の好み/価値観で判断しているのか」と「プロジェクトの最初に立てたゴールに近づくための意見/施策なのか」どうかは必ず考える必要があると思います。そこで、それらが一致していたら、もちろんガンガン攻めていっていいときなんだと思います。
ここを見誤ってしまうと、作り手だけは満足しているけど、クライアントはそんなに納得いってないし、ユーザーからも使われない、喜ばれないものが出来上がってしまう。それだけは避けなければいけないので、三方よしとなるよう、そのバランスは常に意識すべきだなと思います。
最後に、僕が「至極のツイート」としてEvernoteに保存している、菅俊一さんのツイートを貼って締めたいと思います。
ポジションが自分を作り上げるのは間違い無いので、自分にはまだ早いと思っても機会が来たらかなり無理してでもやるといいと思います。成長は右肩上がりの直線ではなく、断続的にポンっと跳ね上がる感じで来ます
— suge™ (@ssuge) February 22, 2015