ウェブディレクターとして、サイトを制作する際にはすでにあるいろんなサイトを参考にして戦略を考えたり、サイトの構成を検討したりします。競合分析では、同じ業種やジャンルの競合他社や近しい領域の事業者・組織のサイトもチェックし、どんなデザインルールがよく踏襲されている業界なのか、ワードの選び方・文言の使い方はどんなふうか、などデザイン面にとどまらず様々な情報を参考にします。
そもそも、ウェブサイトは「これが正解」というお手本というか教科書的なものは特にありません。なので、外からウェブサイトについて学ぶときは、自ずと他社のサイトや類似サービスのサイトをチェックし、情報を得るというのは基本的な方法になろうかと思います。この競合他社・サービス分析は、新たにその業界でのサイトをつくる上で特に重要な情報源となるので、欠かさずに導入したいフローでもあります。
ただ、このときに注意したいのが「見えている部分(デザイン)だけで評価しない」ということです。例えば、そのサイトにどんな色が使われているか、フォントの種類はなにか、エフェクトは使用されているか、メインビジュアルはどんな様子か……。挙げればキリがありませんが、そうした「表面に出ている情報」は、単に表面に出てきたアウトプットの一部であって、そのサイトがどんな意図や戦略を持ってそのようなつくりにしたのかとはまた別の次元の話になります。
なので、競合他社・サービスのサイトを分析する際は、氷山の一角の下にある、海水中の隠れた部分(サイト構成を形作る思想、考え方、基本戦略)をいかに汲み取り、アウトプットとうまく紐付けて解釈できるか、ということが重要になってきます。色がどうとか、フォントがどうとか、そういう見た目を評価するだけに留まらない分析が、競合分析では大事なのだと思います。